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税理士 長嶋佳明
税理士 長嶋佳明
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相続税対策に活用する生命保険の課税関係

相続税対策に生命保険を活用する

5 . 法人で生命保険を契約する

会社経営者の場合、自社株の相続税評価額が高くなる傾向にあり、財産の大部分が自社株であることも珍しくありません。
自社株は換金できないため、相続税を支払うための現金をどのように確保するのかが大きな課題となります。
そこで、生命保険を法人で契約することで次のようなメリットが出てきます。
(1)死亡退職金を準備できる
(2)弔慰金を準備できる
(3)死亡保険金の非課税を確保できる
(4)自社株評価を下げることができる
(1)死亡退職金を準備できる
会社経営者が在職中に死亡すると、死亡により退職をすることになりますので、会社から退職金を支給することがあります。
このとき、会社経営者に支給されるべきであった退職手当金、功労金などを遺族が受け取る場合で、会社経営者の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の対象となります。

退職手当金には遺族の生活保障を考慮して、法定相続人一人当たり500万円が非課税とされています。
生命保険金と同様に非課税とされている部分がありますので、相続税を支払うための現金を確保するのに役立ちます。
(2)弔慰金を準備できる
会社経営者が死亡したときは、会社から遺族へ弔慰金を支給することがあります。
また、遺族については受け取った弔慰金は、通常相続税の対象にはなりません。
ただし、会社が遺族へ支払う弔慰金のうち、次の算式により計算した金額は相続税の対象になりませんが、この金額を超えるときは退職金として相続税が課税されます。

①被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき・・・普通給与の3年分

②被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき・・・普通給与の6ヶ月分
(3)死亡保険金の非課税を確保できる
会社経営者を被保険者とする生命保険を法人で契約した場合、会社経営者が死亡したときはその生命保険から死亡保険金が会社に支払われるため退職金を支払うときの現金に充てることができます。
また、会社経営者が生前に退職したときには、生命保険を解約せず、この生命保険の契約を退職金代わりに渡すことができます。
このとき、生命保険の契約者を法人から退職する会社経営者に変更するだけで手続きが完了します。

生命保険の契約者を変更した後、会社経営者が保険料を支払っていくことになります。
その後、会社経営者が死亡したときは生命保険金が支払われ相続税の対象となりますが、生命保険金の非課税を利用することができます。
(4)自社株評価を下げることができる
会社経営者が所有する自社株は相続税評価額が高くなる傾向にあり、自社株の相続税評価額の引き下げが大きな課題になります。
自社株の相続税評価額を計算するときには類似業種比準価額が使用されますが、類似業種の株価・自社の配当金・利益・純資産額により株価が計算されます。
この中で株価評価に大きな影響を与えるのは、利益金額です。

そこで、法人税で全額損金計上できる生命保険に加入すると、自社の利益を大幅に引き下げることができます。
ここで注意をしなければならないのは、株価評価の引き下げ効果が出てくるのは、保険料を支払った翌期以降となります。
その理由は、自社株評価をするときに使用する利益金額は、直前期末1年間における利益金額であるためです。
(参考)法人契約をした生命保険が自社株評価に与える影響
会社経営者の自社株対策は大きな課題になります。
自社株対策として行われるのは、主に次の2つとなります。
(1)所有する株数を減らす
(2)自社株の相続税評価額を引き下げる

(1)所有する株数を減らす
所有する株式数が減ると相続税が減るという理屈になるのですが、会社の後継者が決まるまでは株を移動させるのは難しいことでしょう。
株には議決権があるため、株を生前贈与などで移動させてしまうと後継者に株を集中させることができない可能性があります。


(2)自社株の相続税評価額を引き下げる
自社株の相続税評価額を引き下げるために、利益を減らすことや手持ちの現金を使って不動産などを購入することが一般的に行われます。
会社の経営を考えたときに、利益を減らすことが本当に良いことなのか、あるいは、本業以外の不動産を購入することが本当に良いことなのかという問題があります。
このような事情から、自社株対策を行っていないケースも見受けられます。

自社株対策を何もせずに相続があったときには、当面の相続税支払いを避けるために配偶者が自社株の大半を相続することがあります。
配偶者が相続すれば配偶者の税額軽減により、基本的に相続税はかかりません。
このような時間稼ぎをした後、次のような自社株対策を実行することも有効です。

①死亡退職金を支給する
退職金を支給することで利益金額が減少し、翌期から株価評価が下がります。

②配当の引き下げ
配当金を下げるだけで自社株評価は下がります。
自社株評価における配当金額は、直前2期の平均を使用しますので、翌期から引き下げ効果が反映されます。

③含み損を出す
不動産・ゴルフ会員権・株など、含み損を抱えている資産がある場合には、これらを売却して含み損を確定させることで株価引き下げ効果があります。
含み損が出れば、利益金額が減少するため、株価引き下げ効果が出てきます。

このような自社株対策を行った後、配偶者から子供へ生前贈与を行うことで相続税の節税になります。

自社株を贈与してから3年以内に配偶者が死亡したときは、生前贈与された自社株は配偶者の相続税を計算するときに相続財産に含められてしまいます。
ただ、相続財産に含められるのは贈与をした時点の金額であるため、贈与後に株価が上昇したとしても上昇分は考慮されません。
場合によっては、相続時精算課税制度を利用して自社株をまとめて贈与するほうが有利になることもあります。
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